2011年8月13日土曜日

season

『なにかが治っていく過程というものは、

見ていて楽しい。

季節が変わるのに似ている。

 季節は、決してよりよく変わったりしない。


ただ成り行きみたいに、

葉が落ちたり茂ったり、

空が青くなったり高くなったりするだけだ。

そういうのに似ている、


この世の終わりかと思うくらいに気分が悪くて、

その状態が少しずつ変わっていく時、
 
別にいいことが起こっているわけではないのに、

なにかの偉大な力を感じる。


突然食べ物がおいしく感じられたり、

ふと気づいたら寝苦しいのがなくなっていたりするのは

よく考えてみると不思議なことだ。


苦しみはやってきた道のりと同じ道のりで

淡々と去っていく。



たとえ高層ビルの中の一室に閉じ込められても

山も川も海も見なかったとしても、

体の中に血が流れている限り、

人は自然の流れに似た流れを生きるのだろう』

 夏風邪をひき、その真っ只中、

吉本ばななさんの小説を初めて読んだ

この人の言葉の使い方はなんて魅力的なんだろう