『なにかが治っていく過程というものは、
見ていて楽しい。
季節が変わるのに似ている。
ただ成り行きみたいに、
葉が落ちたり茂ったり、
空が青くなったり高くなったりするだけだ。
そういうのに似ている、
この世の終わりかと思うくらいに気分が悪くて、
その状態が少しずつ変わっていく時、
別にいいことが起こっているわけではないのに、
なにかの偉大な力を感じる。
ふと気づいたら寝苦しいのがなくなっていたりするのは
よく考えてみると不思議なことだ。
苦しみはやってきた道のりと同じ道のりで
淡々と去っていく。
たとえ高層ビルの中の一室に閉じ込められても
山も川も海も見なかったとしても、
体の中に血が流れている限り、
人は自然の流れに似た流れを生きるのだろう』
夏風邪をひき、その真っ只中、
吉本ばななさんの小説を初めて読んだ
この人の言葉の使い方はなんて魅力的なんだろう